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UncleKのSOHO的生活

在宅で仕事をする

 「病気治療のため勤めていた会社を辞めて、現在も週2回程度通院しながら治療を続けています。外へ働きに出ることはできませんが、自宅で出来ることなら体調を見ながら週3~4日は仕事ができそうです。
 月に4~5万円程度の収入になれば十分なのですが、在宅で始めようとするならどんな仕事がいいでしょうか。」

 これは実在のものではなく、ネット上の掲示板やメーリングリスト等で繰り返し出遭った内容を私が勝手に一般化したものです。

 残念ながらこの投稿子は、在宅でできる仕事を探すよりは、こつこつ小説でも書いてがっぽり賞金を稼げるような新人賞でも狙うか、それなりの画才があるなら、日展等の入選でも狙った方が、遥かに堅実?な考え方と言えるかもしれません。

 まず最初に、在宅ワーク、イコール、「自分の都合に合わせて働ける」という考えは、かなり素敵な勘違い。当方の旧ブログからお付き合い頂いている方はご存知でしょうが、テキスト入力(ベタ入力)のお仕事などは、金曜日に電話が入りPDFの原稿をサーバーからダウンロード、土日に入力、校正作業、月曜朝イチ、メールで納品といった流れは、お約束のパターンと言えるほど。作業が間に合わなければ、徹夜作業も日常茶飯事。

 在宅とは、あくまで外へ出かける必要がないだけのことで、やはり報酬を頂く以上、仕事はクライアントの都合に合わせて動きます。自宅が仕事場イコール、うっかりすると(しなくても)年中無休、24時間営業、てな状態に陥りがち。(陥ってる本人が言うんだから間違いない)

 第二に、「月に4~5万円程度」というのもかなりの勘違い。実際、「人手が足りない」と言われる愛知周辺でも、勤務時間の限られるパートなら、月収が5万円を超えればまずまず稼げている方。在宅で、似たような収入を得ようと考えるなら、よほど特別なスキルを身につけている必要があります。

 ところが、在宅での仕事を志す方のうち、かなりの割合の方がこの種の勘違いを抱えて仕事を始められます。勢い、現実に突き当たった途端、大半は挫折、スキルを身につけるところまで辿りつく方は数えるほどしかみえません。

 ブームと言われた一時ほどではないにしろ新規参入の人材は多く、競争も激しいため、特殊なスキルの必要がない単純な入力作業(といってちゃんとした仕事をするのはけっこう大変だったりするんですが)等は、相変わらず単価が下がり続けるなど、確かに仕事環境は厳しいです。

 ただ、「自分の都合で」は働けないにしても、在宅で仕事が安定してできるようになれば、「自分のライフスタイルに合わせた働き方」は実現できないことではありません。データ入力一つにしても、それなりの作業期間が取れる場合もけっこうありますし、特に特殊な技術はなくても正確な仕事ができれば、そこそこの量の仕事を確保することもできないわけではありません。

 新たなワーク・スタイルとして、厚労省あたりも「テレ・ワーク(特にSOHO的なものを想定しているわけではありませんが)の推進」を政策として打出しており、私の住む愛知県などは業務のアウトソーシング自体まだまだ馴染みが薄いこともあって、むしろ「ようやく本格的に普及し始めた段階」という見方もあるほどで、今後の状況をそれほど悲観的に見る必要はありません。

 ただ、自前で仕事を取り、安定してそれなりの収入を得ようと思えば、やはりそれなりの技術が身についていることが大前提。更にそれプラス、営業力や経理の知識等も身に着けないと長くは続けられません。「どんな仕事があるでしょう」という考えを、「どんな技術を磨けばいいか」といった発想に切り替えられれば、時間はかかっても自分らしい働き方を実現することは、さほど実現不可能なことではないと思うのですが、いかがなもんでしょう。

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奥が深いぞ! メール道

 初めてのお客様と仕事の打ち合わせなどを行う場合、短時間でも直接顔を合わせてお話しすることができるなら、それ以上の方法はありません。たとえ打ち合わせ自体は、単に資料の受渡しだけで終わってしまったとしても、互いの表情や動作などを実際目で確かめながら話した経験を踏むことで、得られるものが大きいのです。顔を合わせるまでは行かなくても、電話で直接お話させて頂ける場合は、まだ声の表情などである程度相手のパーソナリティを推測することもできます。

 ところが、私のように在宅で仕事をしていると、コミュニケーションの手段としては、メールの占める比重がどうしても大きくなります。場所的にお近くで既に何年もお付き合い頂いているクライアントでも、電話でのやり取りすら一度もない方が普通にいらっしゃったりします。

 このメール、非常に手軽で確実なコミュニケーション・ツールである反面、文字情報のみ(まさかビジネスメールで絵文字もないので)のやり取りとなるため、使いこなしという面では非常に奥の深いツールでもあります。

 ビジネスメールにはそれなりの定型もあって、例文を紹介するサイトもけっこうあったりしますが、なかなかそれだけでは収まらない部分も。

 ビジネスメールはある程度単刀直入、簡潔に内容をまとめ、相手に手間をかけさせずに用件が伝わるようにするのが基本ルールではあるのですが、そこはそれ、相手の個性もいろいろあって、挨拶部分もそこそこに箇条書きに近いような書き方をしないとお叱りを受ける向きもあれば、逆にそれでは失礼に受け取られてしまう方も。お人柄をある程度こちらがつかんでいる場合はいいのですが、まだお付き合いも浅いお客様の場合、その辺りのサジ加減はなかなか難しいところが。

 ビジネスメールとはちょっと外れますが、中高生のメールマナーを採り上げた

「「件名なし」のメールを「常識」とする若者たち」

という小文をネットで見つけました。

 相手が仲間内に限られ使い勝手の面からも件名が疎かになりがちな携帯メールだと、私もついつい「件名なし」や「Re:○○」といった形で送りがち。仲間内で携帯電話を使ったメールのやり取りに慣れている中高生達は、事務的な用件等外部の人間にメールを送る際も仲間内へ発信するときと同じような調子で送ってしまう例が多いらしく、きちんと用件が伝わらなくて困る、と言った内容です。

 中高生にこの文の筆者が期待するようなメール・マナーを求めるのは少々酷な気もしますが、正直、大人同士のビジネスメールでも、これに類したケースに出くわすこともそう珍しいことではありません。

 流石に仕事を依頼されるクライアントから送られてくるメールではそれほどありませんが、データの入力などをお願いしている外注スタッフの方から送られてくるメールには、これに近い例がけっこうあります。

 仕事を手配する際こちらから送らせて頂いたメールに返信する形でメールを送っているのは分かりますが、至急確認の必要な用件なのに件名が「Re:○○」のままだったり、内容に関係なく常に「○○です」のようにご自分の個人名を件名に使用してあったり。

 受け取るこちらの状況はというと、通常複数の仕事を平行して進め、それぞれ多人数のスタッフさんに分担してお願いしている関係で、仕事関係のメールだけでも半端な数ではありません(忙しいときはメールの対応だけで一日終わってしまうようなことも)。やっかいなことに、これに毎日100件を超えるような数で届くスパムメールが加わります。ついつい、内容の確認も対応に急を要するようなものを優先して行うので、単に「Re:○○」のような件名のものはつい後回しになってしまったり、個人名を使った「○○です」のような件名のものは、最悪スパムと勘違い、うっかり削除してしまうようなケースも考えられないわけではありません。

 先の小文の内容ではありませんが、このようなメールの送り方は、「受け取る相手の状況に対する想像力がまったく働いていない」と受け取られても仕方がないでしょう。

 かく言う私も、えらそうに言えた義理ではありませんが、見積り依頼のメールなら、単に「Re:○○」のままではなく、「お問合せありがとうございました。」のような一言を手前にはさんだりするようなことは、常に心がけるようにしています。

 また、相手方の受信トレイが未読のメールで溢れかえっているケースも想定して、「○○質問の件」などメールを開く前にある程度内容が推測できるような件名を付けるような配慮をしていれば、見落とされるような不測の事態を招く予防策にもなります。

 個人で在宅の仕事をお請けしている立場から、営業活動はHP、仕事のやり取りはFAXかEメール、といった形になってしまうため、メールはかなり重要な仕事のアイテム。

 失礼な話ですが、クライアントからの問合せメールにも、依頼内容がよくつかめないものもないではなく、時にはどう返事を書くか途方にくれることも。
「Wordの入力をお願いしたいのですが、A4、1ページおいくらになりますか」
といった内容でも、問い合わせる側からすれば「参考になるような金額を返してくれれば」程度の気持ちで送られたんでしょうが、返信する側からすると、1ページの文字数が7~800字程度の場合と2,000字近くあるような場合とでは当然単価が変わってきますし、作業の内容もベタ入力に近いような場合もあれば、表や図がたくさん入ってレイアウト作業がけっこう大変だったり。うかつに金額を提示して、後で青ざめるようなケースも、時にはあったり。

 こういう場合でも、なるべく相手に失礼に受け取られないよう、うまく返事を返すには、まだまだ修行も欠かせないようです。

 ちょっとした配慮のあるなしで受注成績に差が出たりするメール道。つい忙しいと疎かにしてしまうこともあったりしますが、何とかメール道を極められるようお互い頑張りましょう。


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マイナス6%

 梅雨明けが長引き7月は月間の平均気温も低く野菜の値上がりなどが話題になりましたが、8月に入って状況が一変、8月16日には岐阜県多治見市で40・8度を観測(観測史上国内1位タイ記録だそうです)するなど、国内各所で記録更新の報道が相次ぐ騒ぎに。

 やはり長梅雨後猛暑が続いた昨年、天候の推移が、温暖化の進行が気性に与える影響をシュミレーションした際の「100年後の気象パターンにそっくり」だとし、「06年は温暖化の始まりと呼ばれるようになるかもしれない」という、研究者の不気味なコメントが報じられていましたが、今年の状況は正にコメント通りに事態が進行しているようにも感じられ、暗い気分に陥ります。

 温室効果ガス削減への取組みに気勢の上がるようなニュースが乏しいことが、余計に気持ちを落ち込ませるのですが、先日の東京都の温暖化対策を報じるニュースには「おっ!」と思わせるものがありました。

 その内容は「大規模事業者を対象に二酸化炭素(CO2)の排出削減の数値目標を設け、達成を義務づける方針を固めた。」というものです。目標をクリアできなかった企業は「超過分を排出削減の進んだ他の企業から買い取らなければなら」ず、排出量取引にも道を開くもので、及び腰が目に付く国の尻を叩くような内容に多少期待が膨らみます。

 中小企業に対しても、温暖化対策に向けた「資金を調達しやすくする支援策も検討」しているとのこと。

 とかく差別発言で話題を呼び必ずしも共感しにくい面もある東京都の知事さんですが、こういった取組みに際して、リーダーシップを発揮することは、彼のお得意な領域でもあり、国の経済活動のかなりの割合を占める東京発で日本全体を引っ張っていくようなムーブメントを巻き起こしてくれれば、多少はこれまでと違った動きが出てくることも期待できるかもしれません。

 前回のサミットで首相自ら「温室効果ガス、50%削減」とぶち上げ、「美しい星50」とキャッチフレーズを掲げた割りに、国の方からは目新しい動きがありません。日本は、京都議定書で8~12年度に年平均で90年比6%の削減義務を負っているにも拘らず、05年度は逆に7・8%排出量が増加、先頃発表された政府見通しでは「目標達成に1.5~2.7%の不足が生じることになる」としています。一方、環境審議会等から出される提言は「民に丸投げ」の声が漏れるほど内容が乏しいまま。アドバルーンは上げたもののどの程度危機感を持っているのかいささか疑わしい状態。

 確実に人を動かすには、やっぱり「アメとムチ」。世界の温暖化対策を引っ張るEC諸国では、排出権取引市場の導入といった大きな取組みの他にも、イギリスが住宅の省エネ対策に基準を設け基準値以上の住宅を減税の対象とし、ドイツは、太陽光発電の余剰電力を電力会社が買い取る際、買い取り価格に補助金を出して太陽光発電の普及を図る、など様々な政策を相次いで導入。京都議定書から離脱するなど消極姿勢が目に付く米国でも、州レベルでは排出権取引市場の開設等への取組みが進んでおり、こと、排出権取引に関しては日本は取り残されかねない状況になっています。

 私事ですが、現在の私達の住まいは6年ほど前に建売を購入したものですが、当初から太陽光による発電と給湯の設備が組み込まれていました。設置費用も購入価格に含まれていたので、特に余分な出費が必要だったわけではありませんが、太陽光発電の方がエネルギー財団の補助金の対象となり、年2回ずつの報告書を2年間送付する代わりにけっこうな額の補助金を頂きました。

 この補助金のおかげで、太陽光発電の普及に関し、日本は世界の先陣を切っていたのですが、何を考えたのか「当初の目的を達成した」と言って、国はこの補助金を早々と05年度で廃止、太陽光発電の導入であっという間にドイツに抜かれ、現在は遥かに水を開けられている状態です。

 太陽光発電の方は、設備が高額のため補助金等の後押しがないと元を引くのに少々年数がかかるようですが、太陽熱を利用した給湯の方は、設備費自体も割と安価で、電力と比べれば蓄積の問題も少なく、費用対効果の面からは、ちょっとの後押しで大きな効果が期待できそうです。

 今日のニュースでは、中国を訪問中の環境相が「環境汚染と同時に温暖化ガス排出を防ぐため、日本が技術や設備を提供」し「見返りとして中国側が二酸化炭素(CO2)の排出権を提供する」という提案を行ったことが報道されています。中国、インド等で積極的にこうした役割を果たすことは、国内での取り組みよりかえって安上がりに削減効果を得られるかもしれません。中国は「光化学スモッグの原因物質が日本に流れ着いているのではないか」といった報道もあったことですし、そういった面の改善も進めば、正に一石二鳥。

 方法はいくらも考えられるのに、利害調整の難しいものは先送り、とりあえず民や個人の自主性頼み、というのでは、国の役割が問われます。

 年初から世界各地で異常気象が相次ぎ、「北極海の海氷、衛星観測史上最小に」といった報道が流れ、温暖化の進行は大方の予想より進行が早いようにも思われます。目標通りに削減が進んだにしても実際効果が現れるのには何年もかかることを考えれば、正に待ったなし。

 参院で与野党逆転がなったことで、国会でも多少新たな風が吹く可能性があるようにも思います。かの都知事様が得意の強引さでぐいぐい流れを引っ張ってくれたら、大きく山が動き始めるのでは、と期待するのは、少々虫が良過ぎますかねえ。


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介護難民 まとめ

 昨年12月に母が亡くなり、後を追うように父も今年5月に亡くなりました。入所手続きを進めていた特別養護老人ホームは、入所日が確定するところまでは辿りついたのですが、残念ながらその前に本人が力尽きてしまい、結果的に入所まではいたりませんでした。

 どたばた駆けずり回り悪戦苦闘が続く半年でしたが、その中で見えてきた老人介護制度の問題点などを最後にまとめておきます。

■情報不足が一番問題

 母が最初に入院したH市民病院は、国の医療制度では急性期病院という位置付けで、積極的に治療を施して症状を改善する役割を担っています。こういった病院は、一通りの治療が終わって症状が安定期に入ると、患者は直ぐに退院を迫られてしまいます。

 ところが、その後受け入れを担う施設、あるいは病院が、受入れ能力の絶対数が不足していたり、受入れに厳しい前提条件があったりして、専門的な立場からのフォローがないと、患者の側だけの対応では利用が大変難しい状態にあります。一応、身近な自治体にも相談窓口が設けてありますうが、施設のリストや一般的な資料を渡してくれる程度で、個別の問題を解決するにはまったく役立ちません。

 私の場合、以前から在宅でヘルパーさんの派遣やデイケア等をお願いしていたご縁があり、派遣先のケアマネージャーさんに、何度も相談の連絡を取りました。両親とも入院してしまった後は、実質的に契約関係はなくなっていたのですが、それにもかかわらず、最後までいろいろ細かなアドバイスを頂くことができたので、何とか難局を乗り切ることができました。なかなか先が見えずかなり絶望的な気分に陥っていた際も、「最悪短期間だけの条件でしたら、ショートステイで何日か受け入れてくれるところは探せますから」という一言は、ホント心強いものがありました。いざと言うときになって慌てないよう、早めに相談できるところは確保しておいた方が賢明です。

 父も、救急で入院した後、老人保健施設に変わりましたが、このときは本人の状態も母のときとは異なり、病院側も「初めに期限ありき」といった対応ではありませんでした。担当医も病院に所属するケースワーカーさんに相談できるよう配慮してくれたので、かなり楽に次の居場所を探すことができました。

 病床数が多い割りにケースワーカーさんが一人だけで、面談をお願いしても1週間以上待たされるな体制が十分とはとても言えませんが、どうにも困るような立場に立たされた場合には、多少強引にでもケースワーカーと話ができるよう頼み込んだ方が早く解決策が見つかります。病院間の転院なら、病院から直接転院先の病院へ交渉してもらうこともできます。

■老人介護は穴だらけ

 特別養護老人ホームは、一度入所できれば終身でケアが受けられますので、万が一の際にもそれほど対応に困ることはありません。ただ、絶対数が不足しており、本人の状態が介護認定で「要介護5」以上が入所できる最低条件のように言われています。「要介護5」と言えば日常生活に関するあらゆる面で全面的に介助が必要な状態ですが、そんな状態でも1年以上の入所待ちが普通と言われています。父の場合、先のケアマネさんから新規で開所する施設の情報を頂き、そこを狙って申込みを行ったおかげで何とか入所枠に滑り込むことができました。

 在宅介護よりは採算性がよいようで新設するところが増えているようですので、現在お探し中の方はそういった情報を集められるといいかもしれません。新設だと受入れの人数枠が大きいため入所のハードルが既設の施設よりはかなり低くなります。

 老人保健施設は、病院での治療を終えた方が自宅、あるいは他の施設に移られる前にリハビリを行うことを主目的とした施設です。「介護難民 -2-」で取り上げたように、施設の体制によって受け入れてもらえる症状が施設ごとに異なり(症状はさほど変わらなくても、処方の必要な薬の種類で入所できたりできなかったり、といったことも)、よほど覚悟を決めて片っ端からあたるか、きちんとした情報を把握してみえる方の援助がないと、うまく対応する施設と巡り会うことは至難の業です。中には特養と同じように終身でケアしてもらえる施設もありますが、そういったところはやはり同じように1年近く待つことが必要だったりします。

 介護施設では、他にグループホーム等いくつかのタイプがありますが、いずれもそれほど介護の必要性が高くない方が対象です。

 病院の方は、急性期病院での治療を行った後入院が可能になる病院として長期療養型の病床を主に抱える老人病院と呼ばれるところがあります。こちらは、医師や看護師の数が急性期病院とは落差が激しく、自力で食事のできない方は満足に食事が摂れなかったり、認知症があったりするとベッドに縛り付けられたままになってしまったりする可能性もあるようで、家族としては預けることに不安があります。

 今のところ受入れ人数の多いところが多く、緊急避難先としては考慮の対象となるかもしれません。ただ、ここも一箇所に継続して入院できるのは半年ぐらいの期間で、一旦は入院できたにしても、平行して別の入所施設を探す必要があります。また、政府としてはこういった病院も順次少なくしていく方向で考えているようです。代りに病気治療と介護を組み合わせた新たなタイプの施設を立ち上げる計画があるようですが、民間任せですので直ぐに十分な受け入れ先が確保できそうにはありません。一方的に老人病院の削減を先行して進めるようだと、文字通りどこにも行き場のない「介護難民」が数多く出てきそうです。

■日本の介護費用は本当に莫大か?

 ちょうど今日厚生労働省から「06年度の医療費の総額が32兆円」という発表があったと報道されていました。金額だけみると「そんなに巨額の費用がかかっているのか」と思いますが、実際のところ対GDP比で言うと、日本の医療費は先進諸国の中で20位近くをウロウロしている状態です。

 社会保障や福祉に関わる予算全体でみても、予算規模自体が巨額で先進諸国の中では福祉にかける予算が少ないと言われる米国でも30%前後を支出しています。逸れに対して、日本はそれよりもかなり少ない20%程度。日本政府の社会保障や福祉に対する消極的な姿勢は、先進諸国の中ではかなり際立ったものだと言えます。

 政府は「老人介護は原則自己責任」を基本政策として掲げています。確かに少子高齢化で年金を基礎とした老後保障もおぼつかない状態。ヤミクモに老人の医療費や介護の費用が膨らんでいい訳はありませんが、現在でも、介護の負担に耐えかねて親を手にかけたり、逆に介護する側が自ら命を断ったりする悲惨なケースがたびたび報道されています。やがて時を経れば、その役割が、現在ワーキングプア、ネットカフェ難民等と呼ばれている世代に引き継がれることになります。そうしたときのことを想像するとき、うすら寒い気持ちに襲われるのは私一人ではないと思います。

 先に悪質な法令違反で話題を呼んだコムスンにしても、正当に業務を行っている業者が逆に経営が成り立たないほど劣悪な介護報酬の設定がその背景にはあります。

 日本の貯蓄率の高さは以前からたびたび採り上げられてきました。経済が長期に低迷した時期を経てある程度変わってはきたようですが、それでもなお際立つ貯蓄率の高さも、その背景に心細い老後保障が影響しているのは間違いないでしょう。それはまた、「いざなぎ超え」と言われながら景気拡大にイマイチ弾みがつかない遠因ともなっています。

 現在は当事者のみが問題を抱え込んでいる状態ですが、このまま放置すれば、それほど遠くない将来、深刻な社会問題となることは目に見えています。厳しい財政状況はあるにしても、もう少し先の見通せるきちんとした解決策を検討するよう、機会あるごとに国へ制度の見直しを働きかけていく必要があると思います。


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介護難民 -4-

 一時は途方にくれた母の転院先がようやく決まりました。

■移動の方法も分からない

 転院先は決まりましたが、母は既に寝返りにも補助が必要なほど。

 入院の際は救急車をお願いすることもできますので、病院への移動自体で頭を悩ませることはありませんが、病院から病院への移動に、まさか救急車を呼ぶわけにもいきません。情報がないとこんな程度のことでもたちまち立ち往生です。

 ここで再び、何度も登場しているケアマネさんに電話で相談、車椅子やストレッチャー(救急車にも備え付けてある移動式の簡易ベッド)を積んで迎えに来てくれるタクシーの連絡先を教えて頂きました。既に、入院している母の介護とは直接かかわりがなくなっているのに、ホントに最後まででよく相談にのって頂きました。ケアマネさんの方ではなんてことない話でも、右往左往している側としては、天の助けに思えることも。ただただ、感謝のみです。

 母の転院の対応に手一杯で、父の方はヘルパーさんにお任せしっ放し状態だったのですが、母の転院を翌日に控えて、その父までが入院してしまうというアクシデントも。てんやわんやになりながらも、何とか期限までに転院することができました。

■個人営業の悲哀

 介護施設巡りの合間をぬって入院中の母の世話、といった毎日を繰り返せたのは、私の仕事が個人営業だったからこそ。収入減という副作用は強烈なものがありましたが、逆に勤め人だったとしたら会社に居場所がなくなっていたでしょう。そんな立場の私でさえ、配偶者の働きと、交代で病院に泊まってくれるなど、二人の子供達が全面的に協力してくれたことで、ようやく最後までやれたようなものです。

 とは言っても、当然良い面ばかりとは行きません。組織の助けが期待できない分、代えがきかない悲哀もしっかり味わいました。

 向うから転がり込んできた仕事(なおかつ断われないものに限って)を、かろうじてこなしているだけだんですが、父入院の際には、翌日母の転院があるため、明け方近くまで仕事で動けず、配偶者と娘は直ぐに病院へ走ってくれたものの、私の方は、母が転院先で落ち着くまで父の病室を覗く時間も取れないほどでした。

 さて、せっかく老健への入所が決まっていた母でしたが、空きが出るまで待つことなく、新しい病院へ移って一週間足らずで亡くなりました。

 病院側にも事情はあったにせよ、この時期での転院については、いまだに割り切れないものがあります。ただ、担当医の態度も含め、根本は介護の狭間を放置している国の制度の問題で、一病院に責を問うものではないとは考えていますが。

 巡り会わせで三夜に亘って通夜を営むことになり、断れる仕事や日程の動かせるものはこちらの勝手を聞いて頂けたものの、進行中でどうしても都合の付かない仕事も。そのため、子供達に後を任せて夕方自宅へ戻り、夜中の3時までかかって仕事を片付け、翌朝葬儀場にとんぼ返り、といった日も。

 極めつけは、葬儀当日。一旦中間まで仕上げて送った集計のデータに急な変更が発生、クライアントも発注元からの指示で、どうにも日程の調整ができず「何とかならないか」と葬儀前日に電話が入りました。流石にスタッフと打ち合わせる時間も取れず、さりとて親の葬儀の真っ最中に、仕事だからと私が抜けるわけにもいきません。ギリギリ葬儀翌日の朝まで待ってもらうことでOKを頂き、何とか葬儀を済ませて無事帰宅。ようやく落ち着いてPCの前に座れたときは既に夜の10時近くとなっていました。

 それから延々、明け方近くまでデータの修正に取組み、何とかデータを送ることができました。流石にこれは辛かった。


 とにもかくにも、今の老人介護の体制が大きな欠陥を抱えていることを身をもって体験。せっかくの経験がムダに終わらないよう、次回はポイントとなる点を私なりに整理してみたいと思います。後一回、我慢してお付き合いを。


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