マイナス6%

 梅雨明けが長引き7月は月間の平均気温も低く野菜の値上がりなどが話題になりましたが、8月に入って状況が一変、8月16日には岐阜県多治見市で40・8度を観測(観測史上国内1位タイ記録だそうです)するなど、国内各所で記録更新の報道が相次ぐ騒ぎに。

 やはり長梅雨後猛暑が続いた昨年、天候の推移が、温暖化の進行が気性に与える影響をシュミレーションした際の「100年後の気象パターンにそっくり」だとし、「06年は温暖化の始まりと呼ばれるようになるかもしれない」という、研究者の不気味なコメントが報じられていましたが、今年の状況は正にコメント通りに事態が進行しているようにも感じられ、暗い気分に陥ります。

 温室効果ガス削減への取組みに気勢の上がるようなニュースが乏しいことが、余計に気持ちを落ち込ませるのですが、先日の東京都の温暖化対策を報じるニュースには「おっ!」と思わせるものがありました。

 その内容は「大規模事業者を対象に二酸化炭素(CO2)の排出削減の数値目標を設け、達成を義務づける方針を固めた。」というものです。目標をクリアできなかった企業は「超過分を排出削減の進んだ他の企業から買い取らなければなら」ず、排出量取引にも道を開くもので、及び腰が目に付く国の尻を叩くような内容に多少期待が膨らみます。

 中小企業に対しても、温暖化対策に向けた「資金を調達しやすくする支援策も検討」しているとのこと。

 とかく差別発言で話題を呼び必ずしも共感しにくい面もある東京都の知事さんですが、こういった取組みに際して、リーダーシップを発揮することは、彼のお得意な領域でもあり、国の経済活動のかなりの割合を占める東京発で日本全体を引っ張っていくようなムーブメントを巻き起こしてくれれば、多少はこれまでと違った動きが出てくることも期待できるかもしれません。

 前回のサミットで首相自ら「温室効果ガス、50%削減」とぶち上げ、「美しい星50」とキャッチフレーズを掲げた割りに、国の方からは目新しい動きがありません。日本は、京都議定書で8~12年度に年平均で90年比6%の削減義務を負っているにも拘らず、05年度は逆に7・8%排出量が増加、先頃発表された政府見通しでは「目標達成に1.5~2.7%の不足が生じることになる」としています。一方、環境審議会等から出される提言は「民に丸投げ」の声が漏れるほど内容が乏しいまま。アドバルーンは上げたもののどの程度危機感を持っているのかいささか疑わしい状態。

 確実に人を動かすには、やっぱり「アメとムチ」。世界の温暖化対策を引っ張るEC諸国では、排出権取引市場の導入といった大きな取組みの他にも、イギリスが住宅の省エネ対策に基準を設け基準値以上の住宅を減税の対象とし、ドイツは、太陽光発電の余剰電力を電力会社が買い取る際、買い取り価格に補助金を出して太陽光発電の普及を図る、など様々な政策を相次いで導入。京都議定書から離脱するなど消極姿勢が目に付く米国でも、州レベルでは排出権取引市場の開設等への取組みが進んでおり、こと、排出権取引に関しては日本は取り残されかねない状況になっています。

 私事ですが、現在の私達の住まいは6年ほど前に建売を購入したものですが、当初から太陽光による発電と給湯の設備が組み込まれていました。設置費用も購入価格に含まれていたので、特に余分な出費が必要だったわけではありませんが、太陽光発電の方がエネルギー財団の補助金の対象となり、年2回ずつの報告書を2年間送付する代わりにけっこうな額の補助金を頂きました。

 この補助金のおかげで、太陽光発電の普及に関し、日本は世界の先陣を切っていたのですが、何を考えたのか「当初の目的を達成した」と言って、国はこの補助金を早々と05年度で廃止、太陽光発電の導入であっという間にドイツに抜かれ、現在は遥かに水を開けられている状態です。

 太陽光発電の方は、設備が高額のため補助金等の後押しがないと元を引くのに少々年数がかかるようですが、太陽熱を利用した給湯の方は、設備費自体も割と安価で、電力と比べれば蓄積の問題も少なく、費用対効果の面からは、ちょっとの後押しで大きな効果が期待できそうです。

 今日のニュースでは、中国を訪問中の環境相が「環境汚染と同時に温暖化ガス排出を防ぐため、日本が技術や設備を提供」し「見返りとして中国側が二酸化炭素(CO2)の排出権を提供する」という提案を行ったことが報道されています。中国、インド等で積極的にこうした役割を果たすことは、国内での取り組みよりかえって安上がりに削減効果を得られるかもしれません。中国は「光化学スモッグの原因物質が日本に流れ着いているのではないか」といった報道もあったことですし、そういった面の改善も進めば、正に一石二鳥。

 方法はいくらも考えられるのに、利害調整の難しいものは先送り、とりあえず民や個人の自主性頼み、というのでは、国の役割が問われます。

 年初から世界各地で異常気象が相次ぎ、「北極海の海氷、衛星観測史上最小に」といった報道が流れ、温暖化の進行は大方の予想より進行が早いようにも思われます。目標通りに削減が進んだにしても実際効果が現れるのには何年もかかることを考えれば、正に待ったなし。

 参院で与野党逆転がなったことで、国会でも多少新たな風が吹く可能性があるようにも思います。かの都知事様が得意の強引さでぐいぐい流れを引っ張ってくれたら、大きく山が動き始めるのでは、と期待するのは、少々虫が良過ぎますかねえ。


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